NHK「名医にQ うつ病」4
うつ病に関する番組
NHK「名医にQ うつ病」1〜3の続きです。
特に双極性障害の患者さんから、またうつ病の薬に関する質問に答えているコーナーです。
ご参考になさってください。
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NHK「名医にQ うつ病」4(2010年8月21日)
★双極性障害の患者さんからの相談
Q:37歳女性。双極性障害と診断されて、薬で落ち着いてきたが、躁とうつが混在している状態。1分先の自分がわからず不安。躁とうつの波をどうコントロールしたらいいのか。
A:(理化学研究所 加藤忠史先生)
躁とうつの状態は一見まったく対照的だが、混ざってしまうこともある。そう状態なのにきぶんがうっとうしい、あるいはうつ状態なのに行動的になるなど。これを混合状態と呼んでいる。
自殺を考えるほどのうつ状態でも行動が増えてしまうためにリスクが大きくなり、治療にも注意が必要。
この混合状態は薬物でコントロールするのが中心。双極性障害は気分安定剤リチウムを使うのが基本だが、混合状態がある場合はバルプロ酸を用いるほうが効果的といわれる。
司会者から。
Q:加藤先生は脳科学の立場から双極性障害の研究をなさっているが、最近新たにわかったことはあるか。
A:双極性障害は、脳の細胞のミトコンドリアになんらかの機能障害があると考えられている。
Q:どうしてそのように考えられるのか?
A:亡くなった患者さんの脳を調べると、ミトコンドリアにあるDNAに傷が付いていることがわかってきた。そのせいで脳の細胞が傷つきやすくなっていると考えられる。
双極性障害の薬リチウムは、脳の細胞が傷つきやすくなるのを防ぐ働きがあるのでは、と考えられている。
Q:それを確かめることはできるのか?
A:それを確認するために、遺伝子操作で脳が傷つきやすくなっているマウスをつくった。そのマウスが輪を回す回数に、日によってムラが出てきた。リチウムを与えたマウスはその行動が安定してきた。双極性障害のモデルマウスとして、さらに原因を解明していきたい。
★うつ病の薬についての説明
・うつ病治療の薬剤のうち、
SSRI
SNRI
が最初に処方される(第一選択肢)
・三環形および四環形抗うつ薬は、副作用がやや強いため、SSRI、SNRIが効きにくい場合に処方される。
・さらにNaSSA(ミルタザピン)が2009年に登場した。他の抗うつ薬に比べ、効き目が早いといわれる。
・その他の薬(スルピリド、トラソドン)も症状に応じて処方される。
司会者から。
Q:効果的に薬を使うコツはあるのか。
A::(東京慈恵会医科大学 中山和彦先生)
うつ病を大きく分けると、「不安焦燥が強いタイプ」と「気力が出ないタイプ」となる。
「不安焦燥が強いタイプ」に対しては鎮静系の薬、
「気力が出ないタイプ」に対しては賦活系の薬が使われる。
Q:賦活というのは、意欲を活発にする作用と考えてよいのか。
A:そのとおり。
Q:抗うつ薬でどれが鎮静系でどれが賦活系なのか?
A:賦活系はSSRI、SNRI。副作用も少なくて、使いやすい薬。
鎮静系は、三環形四環形の一部。鎮静作用が強く、身体にも作用するので、飲み心地の点では問題がある。高齢者に使いにくいという欠点がある。
NaSSA(ミルタザピン)は非情に強い鎮静作用を持っている抗うつ薬。高齢者にも用いやすいので効果が期待されている。
症状を解別してそれにあった薬を選ぶのが重要。
Q:30歳女性。うつ病になって6年。気分の落ち込みや不安はほとんどないが、おっくうな感じや疲れやすさが残っている。どうすればよいのか。
A:うつ病の一つの症状ではあるが、主症状である抑うつ気分とは少し違ったもの。なにもする気が起きず、生きがいを感じられない、というようなこと。この患者さんのようほとんどよくなったがおっくう感が残るという場合がよくみられる。それを解消するには抗うつ薬の選び方にポイントがあるといってよい。
抗うつ薬の働きは、脳神経伝達物質のセロトニン、ノルアドレナリンを増やすこと。
さらに神経伝達物質の一つドパミンを増やすことが、おっくう感の解消と関係があるといわれている。
ドパミンを増やす薬は、その他に分類されたスルピリド。直接ドーパミンを強化する薬。
また、NaSSA(ミルタザピン)もドパミンを増やすことがわかり、注目されている。
治験段階の薬にもドーパミン強化作用のものがあり、近い将来現場にでてくるものと思われる。
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おっくう感は確かに長〜く続く症状の一つだと実感しています。その解消のためにドーパミン、というのは初めて聞きました。直接強化する薬がはっきりわかっているのは心強いですね。
一番新しいNaSSA(ミルタザピン)は鎮静系だからでしょうが、ネットの質問箱でも眠くなると言う人が多いように思います。鎮静系なのにやる気に関係するのがおもしろいです。
NHK「名医にQ うつ病」5に続きます。
いつも閲覧ありがとうございます
NHK「名医にQ うつ病」1
NHK「名医にQ うつ病」2(女性のうつ病)
NHK「名医にQ うつ病」3
ご参考になさってください
・なかなか「うつ」から抜けられないあなたへ!「うつ」の悪循環から独力で脱出する新しい考え方!プチ認知療法
・簡単なことに気をつけるだけで、うつ病の家族がぐんぐん元気になる「うつ病の家族への対応マニュアル」うつ病患者さん本人にも対応した内容です
・うつ克服法!「笑顔がみたい」〜心と身体の秘密→メンタルトリニティー:あなたが心を和ませ安心する心と身体の法則をお伝えします。
NHK「名医にQ うつ病」1〜3の続きです。
特に双極性障害の患者さんから、またうつ病の薬に関する質問に答えているコーナーです。
ご参考になさってください。
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NHK「名医にQ うつ病」4(2010年8月21日)
★双極性障害の患者さんからの相談
Q:37歳女性。双極性障害と診断されて、薬で落ち着いてきたが、躁とうつが混在している状態。1分先の自分がわからず不安。躁とうつの波をどうコントロールしたらいいのか。
A:(理化学研究所 加藤忠史先生)
躁とうつの状態は一見まったく対照的だが、混ざってしまうこともある。そう状態なのにきぶんがうっとうしい、あるいはうつ状態なのに行動的になるなど。これを混合状態と呼んでいる。
自殺を考えるほどのうつ状態でも行動が増えてしまうためにリスクが大きくなり、治療にも注意が必要。
この混合状態は薬物でコントロールするのが中心。双極性障害は気分安定剤リチウムを使うのが基本だが、混合状態がある場合はバルプロ酸を用いるほうが効果的といわれる。
司会者から。
Q:加藤先生は脳科学の立場から双極性障害の研究をなさっているが、最近新たにわかったことはあるか。
A:双極性障害は、脳の細胞のミトコンドリアになんらかの機能障害があると考えられている。
Q:どうしてそのように考えられるのか?
A:亡くなった患者さんの脳を調べると、ミトコンドリアにあるDNAに傷が付いていることがわかってきた。そのせいで脳の細胞が傷つきやすくなっていると考えられる。
双極性障害の薬リチウムは、脳の細胞が傷つきやすくなるのを防ぐ働きがあるのでは、と考えられている。
Q:それを確かめることはできるのか?
A:それを確認するために、遺伝子操作で脳が傷つきやすくなっているマウスをつくった。そのマウスが輪を回す回数に、日によってムラが出てきた。リチウムを与えたマウスはその行動が安定してきた。双極性障害のモデルマウスとして、さらに原因を解明していきたい。
★うつ病の薬についての説明
・うつ病治療の薬剤のうち、
SSRI
SNRI
が最初に処方される(第一選択肢)
・三環形および四環形抗うつ薬は、副作用がやや強いため、SSRI、SNRIが効きにくい場合に処方される。
・さらにNaSSA(ミルタザピン)が2009年に登場した。他の抗うつ薬に比べ、効き目が早いといわれる。
・その他の薬(スルピリド、トラソドン)も症状に応じて処方される。
司会者から。
Q:効果的に薬を使うコツはあるのか。
A::(東京慈恵会医科大学 中山和彦先生)
うつ病を大きく分けると、「不安焦燥が強いタイプ」と「気力が出ないタイプ」となる。
「不安焦燥が強いタイプ」に対しては鎮静系の薬、
「気力が出ないタイプ」に対しては賦活系の薬が使われる。
Q:賦活というのは、意欲を活発にする作用と考えてよいのか。
A:そのとおり。
Q:抗うつ薬でどれが鎮静系でどれが賦活系なのか?
A:賦活系はSSRI、SNRI。副作用も少なくて、使いやすい薬。
鎮静系は、三環形四環形の一部。鎮静作用が強く、身体にも作用するので、飲み心地の点では問題がある。高齢者に使いにくいという欠点がある。
NaSSA(ミルタザピン)は非情に強い鎮静作用を持っている抗うつ薬。高齢者にも用いやすいので効果が期待されている。
症状を解別してそれにあった薬を選ぶのが重要。
Q:30歳女性。うつ病になって6年。気分の落ち込みや不安はほとんどないが、おっくうな感じや疲れやすさが残っている。どうすればよいのか。
A:うつ病の一つの症状ではあるが、主症状である抑うつ気分とは少し違ったもの。なにもする気が起きず、生きがいを感じられない、というようなこと。この患者さんのようほとんどよくなったがおっくう感が残るという場合がよくみられる。それを解消するには抗うつ薬の選び方にポイントがあるといってよい。
抗うつ薬の働きは、脳神経伝達物質のセロトニン、ノルアドレナリンを増やすこと。
さらに神経伝達物質の一つドパミンを増やすことが、おっくう感の解消と関係があるといわれている。
ドパミンを増やす薬は、その他に分類されたスルピリド。直接ドーパミンを強化する薬。
また、NaSSA(ミルタザピン)もドパミンを増やすことがわかり、注目されている。
治験段階の薬にもドーパミン強化作用のものがあり、近い将来現場にでてくるものと思われる。
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おっくう感は確かに長〜く続く症状の一つだと実感しています。その解消のためにドーパミン、というのは初めて聞きました。直接強化する薬がはっきりわかっているのは心強いですね。
一番新しいNaSSA(ミルタザピン)は鎮静系だからでしょうが、ネットの質問箱でも眠くなると言う人が多いように思います。鎮静系なのにやる気に関係するのがおもしろいです。
NHK「名医にQ うつ病」5に続きます。
いつも閲覧ありがとうございます
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